- 編集後記 -

誕生日で切り替わる9年間の数秘占い

「なーんか、足りないなあ。なんだろうなあ」。

著者の橙花さんと毎日やりとりして、原稿をコツコツ深めていき、やっと初校が組みあがったというのに、そんな気持ちだった。

「何が足りないのかわかるまで、このまま進めないほうがいいな」
そのまま週末に突入して、ぼんやり考えていたら、「あ、わかった」と気がついた。
各バイオリズムに何が起こるのか、リアルな例が足りないと思った。

前著2冊は、人間の「本質」に言及したものだったのだが、今回は「運勢」について橙花さんが初めて語る本。
数秘の運勢は、9年サイクルで「バイオリズム」と呼ばれ、「バイオリズム1」でスタートした旅が、「バイオリズム9」で終わる。その翌年から、また新たな旅が始まるという仕組みになっている。
そして、その切り替えは、毎年の誕生日。誕生月の月初には、新しいバイオリズムが始まるというのが橙花さんの実感だ。

私事になるが、制作中の年末に「年金定期便」が届いたとき、自分の転職の履歴を改めて見た。11月末で退職し、12月から新しい仕事に就く、というのがほとんどだった。(私は12月生まれ)
思えば、引っ越しも入籍も、人生の大きな転機や切り替わりが、すべて12月。
「わー、本当に誕生月に切り替わってる!」と、ちょっと感動した。

そこで、冒頭の「足りないこと」に戻るのだが、私が自分の経験にバイオリズムを照らし合わせたように、個人の実感やリアルな「生の声」が本に必要だと思った。
各バイオリズムの期間に「どんなことがありましたか?」というみんなのエピソードを集めて本に載せたい!!
橙花さんに伝えると、早速スクールの生徒さんに募集をかけてくださった。

次の日から、どんどんエピソードが届く。次から次に届く。「バイオリズムのエピソード=人生の転機」を教えてもらうことになるので、みなさんのドラマチックな人生を覗かせてもらう。
濃い! 濃すぎる! そして具体的ですっごく興味深い!!!

バイオリズム7と8の切り替わりがハッキリしていた方、3の時期にうっかりして手をケガしてしまったという方、9の時期にいままでやっていたことを一度すべて辞めて荷物をおろした方……。みなさんのエピソードは、こんなふうに紹介させてもらった。

具体的なエピソードを本に入れたいな、と思ったのは、この本の占いが「当たっている」という説得のためではない。そもそも橙花さんの占いは、「当たっているかどうか」はあまり関係なくて、「道具として使ってね!」というアプローチ。
だからこそ、「各バイオリズムのときに、何が起こったのか。逆に何も起こらなかったのか」、具体的な経験を本に入れ込むことで、きっと各バイオリズムを理解する手掛かりになるし、読者の方が自分の生活と照合して楽しめるはず!!という動機からだった。

結果として、すごく広がりのある本になったと思う。

今回もデザインはアルビレオさん。そして、イラストはkilldiscoさん。
「パラパラ漫画を入れたい」という思い付きを伝えたところ、素敵なしかけを考えてくださった。

かねてより、本には「人格」があると思っている。

本の人格には、関わる人の気持ちや志が投影されるみたいなのだ。

『誕生日で切り替わる 9年間の数秘占い』は、どんな人格かというと……
やさしくて、ちょっとユニークで、人の弱さもちゃんとわかる、そしてサービス精神旺盛の「いいやつ!」。

「いいやつ」な本ができたのは、制作に関わってくださった方のおかげです。
みなさん、本当にありがとうございました!!

2021年3月22日
編集者 飛田淳子