- 編集後記 -

正しい家計管理

前職でつくった2冊の本を、新版化させていただいた。
他社で出版するお話もあったそうだが、林先生が「まずはお母さん(本の母=編集者)に聞いてみないと」と言ってくださり、私は愛しい我が子を、再び担当することができた。

それぞれ、7年前と8年前の本。出版当時に、死にそうになりながらライターの伊藤さんと二人で「正しい家計管理」に取り組み、それを巻末の体験記に載せた。今回再び自分の管理を見直し、この8年を振り返ってみると、

「正しい家計管理」という管理法に出会っていなかったら、すみれ書房を起こせてなかった

ということが、よくよくわかった。
起業だけではない。旅行に行ったり、車を買ったりも、できなかっただろう。 収入がアップしたわけではない。ハッキリ言って横ばいか、ちょっと下がってる(涙)。でも、転職や起業という大きな決断をしたり、旅行やキャンプなどに行っていい思い出を作れたのは、「価値観に基づいた支出を追求する」という、林先生の教えが身についたからに他ならない。

節約や貯金を目的としない、黒字システムをつくる家計管理。そして未来のお金の不安を消す長期プラン表の作成。この本に書いてある通りに、自分の価値観を見つめて一つひとつ作業していくと、とても幸せなお金の使い方ができるようになると思う。

お金の本をこんなにも品よくシックにまとめてくださったのは、櫻井事務所の櫻井さんと中川さん。細部に神宿る!という言葉を、何度も感じたお仕事ぶりだった。
そして、前回と同じく西淑さんにイラストをお願いすることが叶ったのも嬉しかった。
ノベルティとして、装画を使ったポストカードのデザインをお願いしたのだが、これがめっぽう美しい。

この管理法は、一度整えるまでが少し大変だ。「自分の価値観に基づいた、自分がやりやすい方法」を追求しなければならないからだ。だからゆっくり、じっくり取り組んでいただきたい。そんな気持ちをこめて、『長期プラン編』あとがきの林先生の言葉を引かせていただこう。

~徳川家康の遺訓にはこう書かれています。
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」
 この「急ぐべからず」という部分に、家康の偉大さを感じます。
 私たち凡人はとかく目先のことに気をとられがちですが、成功した人ははるか先を見据えて、計画的に、しかし無理せず行動しています。
 決して急ぐ必要はないのです。
(中略)
家計管理は、死ぬまで終わりません。
 だから、ゆっくりじっくり、いい計画を立てて無理せず実行していきましょう。
 そして、常に、家計管理の目的を忘れないでいてください。
 節約や貯金のためではなく、
 自分と家族が、現在も未来も幸せに暮らすこと。
 それが、家計管理の真の目的です~

この2冊の本が、みなさんの「価値ある生活」に役立ってくれたら、とてもうれしいです。

2022年7月11日 編集者 飛田淳子