- 編集後記 -

ペンギンうらない

JR東日本のSuicaのペンギンが、今年で20周年になるという。
それを聞いて、本書の著者・坂崎千春さんと、もう20年もお付き合いさせていただいているんだなあと、うれしくなった。

初めてお会いしたのは、JR市川駅の駅ビルの喫茶店。打ち合わせの帰り、駅の柱にSuicaペンギンのポスターが貼られていて、「キャンペーンが始まったんです」と伺った記憶がある。
それから20年、Suicaのペンギンは大人気のキャラクターになり、千葉県のマスコット・チーバ君やダイハツのカクカクシカジカなど、坂崎さんは魅力的なキャラクターをたくさんこの世に誕生させた。

坂崎さんの肩書きは、「イラストレーター」「絵本作家」。つまり「絵」が本職。でもなぜか、私ははじめから「言葉の人」だと感じていて、市川駅で初めてご依頼したお仕事も写真に文章をつけるという「言葉」のお仕事だった。

『捨て犬のココロ』
動物写真家・藤本雅秋さんの写真に坂崎さんが文章をつけた写真絵本。

今回描いていただいた『ペンギンうらない』の2冊も、絵が魅力的なのはもちろんなのだが、やっぱり絵に添えられた言葉が味わい深く、「言葉と絵の化学反応」が本のいちばんの魅力だと感じる。
「占い本」だけれど、占わずに絵と言葉を眺めているだけで、心がゆるんで、いい気持ちになる。全ページに通じるのは坂崎さんならではの愛嬌やユニークさ。それをデザイナーの佐藤亜沙美さんが汲み取ってくださり、独特の「愛嬌」が前面に出た表紙が出来上がった。

そして、やっぱり「当たる」のが不思議!
制作中にも何度も占って、そのたびにヒントをもらえて助かった。

本当に「頼りになる本」なので、いつも手元に置いておきたいし、多くの人に実際に占って試していただきたいと思う。

坂崎さんにお会いして20周年記念の今年、こんなに素敵な本をご一緒できて、うれしすぎる。
さらに、ご縁が巡って、過去に作った坂崎さんのエッセイ集(2002年日韓ワールドカップの試合の最中に見本が届いた本)を当時応援してくださった書店員さんが、お店は変わったけれど、今回パネル展を企画してくださっているのも、めちゃくちゃうれしいことだ。

出来上がった見本を見て、20年間、いろんなことがあったけれど、仕事を続けていてよかったな、と思った。
今回の編集後記は、ただの個人的な感想になってしまいました。

2021年10月8日 編集者 飛田淳子