2018年12月に創業したすみれ書房は、このたび7周年を迎えることができました。ひとえに応援してくださった方あっての存続である。決まり文句のようだけど、心からそう思う。お取引先、著者の方々、制作スタッフ、そして読者のみなさん、本当にいつもありがとうございます!
出版不況が叫ばれて久しい。この7年間でどれだけの書店さんがなくなってしまっただろう。さみしい話もたくさん聞くし、不安になることもある。
でも悲観よりも希望を感じた7年間だった。2023年に出した『新しい体を作る料理』は、啓文堂書店府中本店(現:紀伊國屋書店府中店)1店舗で540冊を売り上げた。弊社の営業担当と書店員さんが組んで店頭で本の良さを最大限伝え、府中のお客さんがそこに反応してくださった結果だ。最近では『射手座大百科』の射手座フェス。こちらも各地の書店員さんがのってくれて、店頭を賑やかにしてくれた。とにかく楽しい店頭になるといいな!と思ってせっせと販促ツールを手作りしたら、やっぱり結果がちゃんとついてきた。
いい本を作って、しっかり売れば、ちゃんと届く。
シンプルな真実だ。
それが簡単ではなくなっている時代や周辺環境ではある。でも、そこに抗うというより、今生きているこの時代と仲よくしながら、関わる人みんなが幸せになる形で、本を作り届けることができると信じている。
お金がない、時間がない、体力がない。
限界を感じて下を向きそうになるとき、お世話になった故・木全ミツさんの言葉を思い出す。
「知恵を出しましょう」
あきらめずに考え続けたら、かならず知恵が出てくる。そう教えてくださった。
世界の悲しい出来事に胸をいためる日も多いが、明るいほうを見てあきらめなければ知恵も出てくるし、本を作るパワーも手の内にたまる。手にたまった明るい力で、これからも誠実に「美しい実用書」を作って届けていきたいと思います。
2025年12月3日
すみれ書房株式会社
生活とは、やさしく、あたたかく、おもしろく、時にしんどく、汚れた部分もあり、それらすべてをひっくるめて、美しいものだと思います。
だれかの美しい生活に役立つ本を、という意味がまずひとつ。もうひとつは、オブジェクトとしての美しさです。
用紙、印刷、造本、組版、装丁。すべての妙が調和したとき、書かれた言葉は幾重にも輝きを増します。
「紙の本」にしか表現できない美しさがあると、信じています。